北野武著 新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜかを読んだ

 

 

 

 

を読了しました。

 

読んでみて

 
北野武氏はやはり理系脳だと思う。本書では、道徳を因数分解し、「そもそも道徳とは」を突き詰める。押し付けられた道徳では、頭の良い誰かのいいなりになっているだけになってしまう。道徳は自分の頭で考えて、はじめて役に立つものだ。だから、今までの古い道徳とはなんだったのかを検証する。その結果、新しい道徳がなにかという答えに至る。

 

文章自体はサクサク読める内容だった。芸人ぽい皮肉が効いているところも良い。個人的には章が細かく分かれている本があまり好きではないので、そこが残念なところだった。 
 

道徳とはなにか

 
「挨拶は大切です」「お年寄りの方には親切にしましょう」「間違ったことをしたら素直に謝りましょう」小学校で習った道徳で誰しも教えられたことだ。子どもの頃なら、先生がいうから、正しいことなんだろうでいいのかもしれない。
 
しかし、大人になれば年下の人間を教育する立場になる。また、自らの立ち振る舞いに責任のある立場になる。そうなるとあのとき、先生が言っていた道徳とはなんだったのかを考えてしまう。それを考え、再構築することが新しい道徳なのかもしれない。
 

種族繁栄としての道徳

 
人間が繁栄してきた理由の一つに個より集団を優先する点が挙げられる。自然界ならば、ライオンはメスライオンが狩りでとってきた肉をまずオスライオンが食べる。次にメスライオンが食べて、最後に子どものライオンが食べる。
 
ライオンに見られるように、自然界においては、弱者を差し置いて、強者を優先させるような秩序システムが一般的だ。これに対し人間は、弱者を守ることで集団にいる人数の減少を最小にする秩序(道徳)を作り出し、現在の繁栄に至っている。社会保障制度の導入も同じような考えだと思う。
 
予想だが、「人を殺してはいけない」のそもそもの理由は集団の中の人数を減らして、繁栄を妨げることをしてはいけないというところにあるのではないかと思う。殺人を犯した者でさえ、人間は簡単には殺したりしないことにも当てはまる。
 
人を殺してはいけないのは理屈ではないといってしまうのは簡単だが、同じ命である血を吸った蚊を殺すことには躊躇しないのだから。(徳川綱吉を除いて)
 

最後に

 
本のタイトルにもある「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜかというのは、北野氏らしい皮肉である。いいことをしなさいというのは、誰しも当たり前にわかっていることなのに、理由について考える人は少ない。だから、本書が答えを出しましょうというわけだ。
 
わたしも子どもになぜいいことをすると気持ちがいいのかを答えられるよう悩んでみたい。
 
 
広告を非表示にする